多次元宇宙少女創造計画☆魔王様のお城☆月の力が高まる場所☆神秘の力で願いを叶える絶対幸福領域☆アセンション世界構築☆イラスト制作☆小説・SS執筆
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白不死鳥紅
2014-06-20 Fri 09:02
白不死鳥紅 シロフシチョウコウ

白き永遠の翼

魔王様が飼っていた元オカメインコのこーちゃんの神格化した存在。

魔王様とこーちゃんは永遠の愛の絆で結ばれている。

魔王様は覚醒前にこーちゃんをいじめてしまったことがありました。

こーちゃんを失った魔王様はこーちゃんの大切さに大きな大きなショックを受けました。

魔王様は大変後悔してこーちゃんに謝りました。

魔王様はこーちゃんのためにたくさん涙を流しました。

こーちゃんはそれを十分すぎるほどに理解しました。

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イラスト制作のご依頼方法
2014-06-06 Fri 16:43
※現在依頼休止中

無償でイラストをお描きいたします。
魔王様進化nemesis

イラスト参考リンク
Pixiv
http://www.pixiv.net/member.php?id=2979108

イラスト制作のご依頼の方は、件名に『イラスト制作依頼』と記して電子メールでお知らせください。
メールアドレス : arisia_end@yahoo.co.jp

主にPainterを使用してデジタルイラストを描いております。
キャラクターと背景が一体型になったイラストです。
私の絵を気に入ってくれた方は是非ご連絡ください。
お待ちしております。

■依頼内容の例:小説・雑誌等の表紙・挿絵、ホームページやブログのサムネやトップ絵、絵本、壁紙、アイコン、ゲームイラスト、カードゲームイラスト、グループ展、同人誌、など


■ご依頼によって制作したイラストはブログやイラストコミュニティサイト等で掲載させていただく場合があります。
掲載拒否を希望する場合はその旨をお知らせください。



描いて欲しい題材を教えてください。願いが叶う魔力を込めたスピリチュアルパワーアートです。
あなたの守護霊、ハイヤーセルフのイラストも描きましょう!

 得意テーマ:神様、天使、女の子、クリ―チャ―、騎士、ロボット、SF、ファンタジー、魔法、装備品、宇宙船、宇宙、幻想風景、恐竜、鳥、お菓子……

メッセージお待ちしております♪
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火星 フェイト・デュアル・アージェント
2014-05-29 Thu 07:23
火星

あなたにもたらされる惑星加護:勝利 火 活力 失われた知識 情熱 愛情 恋 新天地 冒険心 魅力

あなたを守り勝利へと導きます。
心の中に猛々しい火星の姿を思い浮かべます。
不安な時、力を貸してほしいときほど強く思い浮かべます。



守護神

神名:フェイト・デュアル・アージェント

女性神
正正堂堂とした態度の剣士。赤い長髪。情熱の炎の赤やオレンジ色に輝く瞳。赤いマーズオーラを纏う。
いかなる相手に対しても敬意を忘れない。

マーズアーマー:剣士の鎧。攻撃重視の軽量鎧と、防御重視の重厚な全身鎧のふたつのモードを使い分ける。
火星剣:勝利を約束する赤い神剣

モノリス:進化の英知を記した黄金比の黒い石版
知識が詰まった宝箱。悩んだ時には必ず、答えを与えてくれるでしょう。

超古代文明:失われた技術が眠る。新しいアイデア 復活

火星仮面:人面岩を模した仮面。人を引きつける魅力。秘密を隠す力
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幻影世界編 ネメシスの物語
2014-05-24 Sat 14:43
 ★覚醒
 
 私は目覚めた
 ぼやけた視界が次第にハッキリしてくる
古びた部屋の中だ。嫌、廃墟といったほうがいいだろう
剥がれて木がむき出しの壁
埃の積もった床
ただ私の寝ていたベッドだけが新品同様で色鮮やかな真紅色をしている
私は起き上がることにした
しかし体が思うように動かない
再び目を閉じ力を抜きリラックスする
ゆっくり呼吸をしてみる
だんだん体の感覚が蘇ってきた
示現体の調子は良いようだ
ゆっくりと上体を起こした
うん……、
伸びをする
よし!

「わたしは、誰なの?なぜここに?」
 思い出そうと、自問自答を繰り返したが答えは出なかった。
 次第に頭痛がしてきたので諦めた。
少女はベッドの上に立ち上がった
身に着けたブラウスはうっすらと暗闇に青白い光を放っていた
しかしそれ以上に引き付けられるのは彼女の透き通るような白い肌と長い金髪、そして赤く光る瞳
幼く愛らしい顔には好奇心と狂気が秘められていた

 私はなぜここに居るのだろうか?思い出せない。
 これはベッドだ。あそこにある扉はクローゼットだろうか?
 基本的な物の記憶は正常なことに安心した。
 しかし、ここがどこなのか、自分が誰なのかがわからない。
 クローゼットを開けてみよう。何かわかるかもしれない。
 クローゼットの扉を開くと何者かの影が動いた。驚いて咄嗟にあとずさる。
 中に誰か居るの!
 落ち着いてよく見た。鏡だった。
 これが、私
 そこにはひとりの少女が映っていた。
 白い肌に長い金髪、赤い瞳の人形のように美しい少女だった。
 身長は十四センチ位、年齢は十三歳位に見える。
 ネ、メ、シ、ス……ネメシス?
 ネメシス!そうだ、それが私の名前だ。
 クローゼットの中に白いワンピースのドレスを見つけた。着替えてみよう。
 それから後調べられそうな場所……机に引き出しがある。引き出しの中に不思議な物を発見した。その内のひとつを手に取って観察してみた。長さ五センチ、直径3センチ位のガラス容器に入った不思議な光だ。炎のように青白く輝いていた容器は熱を帯びていた。同様にオレンジと黄色の光を発する容器があった。光の正体は不明だったが辺りを照らす光になるだろう。全て持って行く事にした。

玄関扉から青白い光が差し込んでいる。月の光だろう

端末を発見した
指先からプラグを伸ばし端末に接続する
かなり原始的タイプの端末だけど…………
接続成功
周辺情報検索中……検索完了マップのダウンロード完了しました。転送を実行します。
転送?
うっ!
「頭が、ああ、な、何!?」
 直接脳内にイメージが流れ込んでくる。知らない場所。巨大な施設の映像。いったいなんなのだろうか?
 マップ転送完了しました。尚、その他のファイルは破損により閲覧不可能となっています。強制的にシャットダウンします。
 その後は端末の画面が真っ暗になってしまった。もう一度起動しようとしたが無反応だった。
「とにかく部屋からでないと……」

 部屋の金属製の扉に手を当て開けようとする。取っ手が見当たらない。押してみるが微動だにしない。引くのだろうか?しかし取っ手が無いので不可能だった。
 その時、前触れも無く鈍い機械音が扉内部辺りから響いてきた。次いで扉がひとりでに外側に開いていった。
 おそるおそる覗き込んでみる。
 扉の外はシーンと静まり返っていた。何者の気配も感じられない。
 弱い照明が天井に等間隔で並んでおり、そこが廊下である事がわかった。床も壁も天井も同様の黒い金属で出来ている。装飾は全く無く、無機質な廊下だ。左右を見渡したが他に部屋は無い。
 部屋から一歩踏み出した。
 迷わず左手側の廊下を進む。何処へ向かえばいいのかは無意識にわかった。先ほどの頭に流れ込んできた地図を潜在意識が理解しているのだろう。
 廊下を三十メートルほど進むと突き当たりの扉に辿り着いた。今度も取っ手が無かったがまたも触れると自動的に開いた。
 ひんやりとした空気が流れ込んできた。外の空気だ。
 巨大な回廊だった。上り坂になっていて上方に出口らしき穴がある。そこから僅かに光が差し込んでいる。
 回廊は廊下と同様、黒い金属で構成されていた。荒れ果て壁や天井の残骸が散乱している。用途不明な機械らしき物も打ち捨てられていた。
 その時、前方の瓦礫の側に立つ人影らしき物を発見した。
 声を出そうとすると影は身を翻し一目散に滑るように逃げ出した。
 上り坂の途中で一際目立つ機械の残骸を発見した。何かの乗り物、どうやら列車のようだ。外観は灰色でまるで生物の骨や筋肉をつなぎ合わせた様な有機的なフォルムをしている。また何かの気配を感じる。
 何かを食べるような音。食べるというより貪るような不快な音だ。
 列車の上に音の正体は居た。
 出口の光を背に立つ異形の影。暗闇が意思を持ち形を纏ったかのような生命体。全長は5メートルほど。両生類を思わせる頭と胴体と尻尾。六本の細長い足。後ろの4本で体を支え、二本の前足で捉えた獲物を貪っている。獲物は先ほどの人影だ。
パクッと獲物の残り部分を飲み込むと、こちらに向かって来た。
 影の一撃を交わすと後方にジャンプする。
 自分の動きに驚愕した。
 再び向かってくる影の怪物。巨大な口を開けて噛み付こうとする。
 今度は垂直に跳躍し回避すると怪物の頭に着地。その勢いのまま手刀を怪物の脳天に突き刺した。
 死んだ怪物は徐々に輪郭がぼやけていった。まるで墨を撒き散らしたかのように怪物の居た近辺が黒くなった。
 奇妙な現象であったがネメシスはそれよりも自分がこの怪物を倒した事が信じられなかった。手際が良すぎる。どうやら私は戦い慣れしている……自分でも忘れている。何故何も覚えていないの?

 玄関を開けて外に出る。外もかなり暗い。月はあるけれどかなり細い。今にも消えそうだ。
 月と同じ青白く光る街頭が所々に立っている。弱々しい光で今にも消えてしまいそうなところまでそっくりだ。
 向うに明かりの点いた店らしき建物が見える。煙突から煙が出ている。なんだか美味しそうな香りも漂ってくる。

 ★猫店

 扉を開けると入り口の鈴が鳴った。
 店内の食事中の影たちが一斉にネメシスの方を見た。虚ろな闇に浮かぶ光る瞳が彼女のほうを見ている。
 誰も一言も発しない。やがて何事も無かったかのように影達は食事を再開した。スプーンやフォークを使って食べている。最も食べているという表現が正しいのかは微妙だが。何故なら彼らの顔には口らしきものは見当たらないからだ。口がある辺りに食べ物を持っていくと食べ物は吸い込まれるように顔の闇に消えていった。
「いらっしゃい、あれ」
 店主らしき影が話し掛けてきた。どうやら影は喋る事ができるようだ。ネメシスは少し安心した。
 店主の姿は客の影たちとは少し様子が違った。全身真っ黒なのは同じだが猫の様な耳と尻尾の形の影がある。
 やはりこの世界の住人は影が動き出したもののようだ。影そのもの。ネメシスの影は普通にあるが。彼らに光のしたでも影は無い。もっとも影そのものなら当然といえば当然か。
「君、もしかしてもしかして外の人?」
「外の人?どういう意味なの?」
「この影世界とは違う世界から来た人のこと。君はこの世界の住人たちとは全然違うから。この世界には稀に外の世界からやって来る人が居るんだよ。」
 ネメシスは混乱した。いきなりにわかにわ理解しがたい事をつげられた。
 外の世界?私は外の世界から来たというの?
 でも確かにこの世界は異質に思える。なぜか解らないが自分自身の直感で感じるのだ。
 それは自分がこことは全く違う世界から来たからではないのか?
「私にもよくわからないの。自分の事も思い出せないの。ネメシスっていう名前以外は」
「ネメシスちゃんか。素敵な名前だね。僕は猫店主。見ての通りこの暗闇亭の店主だよ」
「記憶喪失なの?思い出せないの?」
「うん……」
「とりあえず何か食べるかい?」
 猫店主に言われネメシスはお腹が空いていることに気付いた。それまでは混乱の連続からか空腹に意識を向けることが無かった。
「私お金持ってない……」
「お金?お金って何かな?それよりこれもってない?」
 青白く輝く炎を指差した。
「これ?」
 ネメシスはポーチから光の入った瓶を取り出した。この光をどうするのだろうか。
「おお、それだよそれ小さいけどとても強い炎だね。それをひとつ貰えるかな。料理にはその炎が必要なんだよ」
 どうやらこの世界ではお金ではなくこの不思議な光が取引に用いられるようだ。
「メニューをどうぞ」
影ネズミのフライ、影野菜シチュー、影甲虫のステーキ
 奇妙というかお断りしたいメニューが多かった。
「じゃ、じゃあ、影野菜シチューを頂こうかしら。」
 ネメシスは無難そうなシチューを選択した。
「かしこまりましたお嬢さん。少々お待ち下さい」
「あの影の怪物は何者ですか?」
 三分ほどして料理が出された。
 野菜?なのだろうか。見た事も無い食材が散りばめられたシチューだ。
 恐る恐るスプーンですくって口に運ぶ。——美味しい。
「美味しい」
「それはよかった」
 猫店主は嬉しそうに笑って言った。
「シャドウイーターのこと。あいつは他の影を食べる恐ろしい奴だよ。光を嫌うから外出する時は月の炎を忘れちゃだめだよ」
「月の炎って何ですか?」
「えっ、月の炎を知らないのかい?ああ、君は外の世界の人だったね。月の光を閉じ込めた月の炎さ、料理もこの炎を使って作るんだよ。オレンジや黄色に輝いているのは星の光だよ。でももうあまり残りが無いんだ。大事に使わないとね」
「どうして残りが少ないの?」
「どうしてって月を見てごらんよ、とっても細いだろ。光が少なくて炎が貯まるのにとてもとても時間がかかるんだ。月は昔はもっと大きくて真ん丸だったんだよ。星も今よりずっと多かった。その時代では炎も今よりずっと沢山取れたって聞いてるよ。言い伝えではね」
「言い伝え?」
「うん、僕が生まれるずっとずっと前。何百年も前。もしかすると何千年も前かも」
「ずっと夜なの?太陽は?」
「ヨル?タイヨウ?なにそれ?」
「……いいの、なんでもないから」
 猫店主は不思議そうにネメシスを見つめた。
 ネメシスは思った。ここはずっと夜なんだ。夜しかないんだ。だから夜という言葉もないのだ。朝も昼も無いから名前をつけて区別する必要が無いのだろう。
 でも私は朝も昼も知っている。太陽を知っている。やはり私はここではない世界からきたんだ。
「そうだ、言い伝えで思い出したんだけど不思議な伝説があるんだ。聞きたい?」
「うん、お願い」
「世界が闇に閉ざされようとする時、光をもたらす者現れ世界は再び目覚めるだろう。」
「それだけ?」
「それだけ。光をもたらす者って誰なんだろうね。案外お客さんの事だったりしてね。ははははは」
「ははは」
 ネメシスは苦笑いした。いきなり伝説が自分かもしれないと言われても反応に困る。
「それともあの子かな?珍しい光を持ってたからな……」
「あの子って誰?」
「え、お客さんと一緒で最近、外の世界から来た人だよ」
「会えますか?」
「そこの裏口から出た道を進んだ先にあるお家に住んでるよ。でもあの子とても怖がりだから脅かさないようにね」
「わかった。色々ありがとう、猫さん」
「また来てね」
 ネメシスはもうひとりの外の世界の住人とやらに会いに行く事にした。この状況がなんなのか。私が何故ここにいるのか。私が何者なのか。何かわかるかもしれない。
 
 ★旅の仲間

ネメシス猫店主の店の裏口から外に出た。
 目的の外から来たという少女の家はすぐにわかった。
 周囲の暗い家とは全く異質な存在だったからだ。オレンジ色の暖かい光が家に灯っている。家の周囲には紙の灯篭が並んでいてこれも暖かな光を照らしている。
 家自体も古い和風な家だ。障子から光がもれている。影の世界には全く似つかわしくない家だ。
「あの、誰か居ますか?私も外の世界から来た者です」
——返事は無い
 留守だろうか?いや一本道で行き止まりにある家だ。それに人の気配がある。
「あの……」
 障子と障子の隙間が僅かに開いている事に気付いた。
 おそるおそる隙間から中を除いてみる。
 六畳ほどの畳の部屋だ。中央にコタツがある。でも誰も居ない。人の気配は気のせいだったのだろうか?いや、コタツの上に皮を剥いたみかん、湯気の立つお茶椀が置いてある。直前まで此処に誰か居たのは間違いないだろう。
思い切って障子を開けた。一歩踏み出した。
「だれか居ませんか?」
やはり返事は無い。どうしよう。でも他に行く当ても無い。待つことにしよう。勝手に上がるのはまずいだろうか。外で待とうか……
そう思い振り返っておもわず声を出した。
「ええっ!?」
振り向いた背後にあったのは外ではなかった。
今しがた入った畳の部屋があった。
慌てて振り返ると同じ部屋がある。
物の配置も全く同じ。鏡に映したかのような瓜二つの部屋だ。
 ネメシスは靴を履いたまま構わず畳にあがった。襖を開けてみる。隣はどうやら寝室のようだ。あとは台所と風呂場があるだけで住人は見つからない。
 もしやと思いコタツの布団をめくってみたが誰も居なかった。
 そうだ、物を動かしたらどうなるだろう。
 試しにコタツの上にあるミカンを持ち上げてみた。すると反対の部屋のミカンがひとりでに持ち上がった。ふたつの部屋は互いに対応しているらしい。ミカンを持ったまま反対側の部屋に入ってみようとした。しかし反対の部屋のミカンもこちらに移動してきた。ふたつのミカンはふたつの部屋を隔てる障子の間でぶつかってしまった。
 互いの部屋のものは持ち込めないと判明した。
 埒が明かないのでネメシスは待つことにした。コタツに入ってミカンを食べてお茶を飲んだ。暖かくなってだんだん眠気がさしてきた。やがてうとうとと眠りに落ちた。

 何時の間に寝てしまったのだろう。
 顔を上げるとコタツの反対側にひとりの少女がこちらを見つめていた。
 長い黒髪。切り揃えた前髪に黒い瞳。12歳くらいだろうか?私より年下に思える。金色の桜の模様の描かれた赤い着物を着ている。
「私はミコトあなたの名前は?」
 黒髪の少女はミコトと名乗った。
「わ、私はネメシス。」
「ごめんなさい。あなたのことを観察してたの。悪い人じゃないかって」
「じゃあこの怪奇現象はあなたの仕業なのね。いったいどうなってるの?」
「私の能力……」
 ミコトは俯きながら静かに呟いた。あまり話したくなさそうだった。私は目的の質問をしてみることにした。
「あなたは外の世界から来たって聞いたけど本当?」
「本当だよ。もしかしてあなたも?」
「そうみたい」
「そうなんだ。仲間ができて嬉しい!ネメシス!ネメシス!」
 ミコトは私の名前を連呼する。よほど嬉しいようだ。
「私たち、仲間か、そうだねミコト」
 なんだか少し安心した。
「ネメシスはお家あるの?眠る場所」
「家?うーん……」
 私の家か……あの目覚めた部屋には戻りたくなかった。
「ない、かな」
「それじゃあ!」
 ミコトは嬉しいそうに目を輝かせて言った。
「家に泊まっていいよ」
 ミコトはニッコリとそう言った。
 それから一緒にミカンを食べてお茶を飲んで話をした。ネメシスが目覚めた事。猫店主にあったこと。
 ふたりで寝室に布団を並べて寝る事にした。
「ネメシス?」
 眠ろうとした時ミコトが話し掛けてきた。
「私の話聞いてくれる?」
「……うん」
 布団に入るとミコトが自分の境遇を語り始めた。

——あれは何年も前のことなの。
 私はここじゃない別の世界に居たの。
 私は森の中の神社の周りで遊んでいたの。そこは私のお気に入りの場所だった。毎日のように遊びに行っていたわ。夕方までには家に帰らなくてはいけなかったの。私の家の決まりだった。でもあの日。遊びに夢中になって気付いたら暗くなってたの。私は慌てて帰ろうとした。そしたら誰かにいきなり手を掴まれてそのまま連れ去られたの。
 彼は森の神と名乗ったわ。家に帰してと言ったけど駄目だと言われた。逃げようとしたらお前を喰ってやるって言うの。いままで何人もの子供を食べてきたって。私は恐ろしくなって森の神の言う通りにしたわ。其れから彼と一緒に過ごしたわ。彼は私に色々不思議な力を教えてくれたわ。この家もそのひとつ。彼と遊んでいると楽しくて私は何時しか家に変えることを忘れていったの。何年経ったかわからない。私は歳を取らなくなっていた。ある日、私は一人で森で遊んでいたの。そしたら神社に辿り着いたの。最初の神社だった。途端に昔の事を思い出したの。家族の事、家のこと。私は帰ろうと駆け出した。彼は追ってきたわ。裏切り者!喰ってやる!って叫びながら。私は必死で逃げたわ。でも彼は早くて追いつかれそうになった。
 私は心のそこから願った。助けて!助けて!って。そうしたら目の前が真っ白になって……気付いたら森も追ってくる森の神も居なくなっていて私はこの世界にいたの。

「怖い記憶。思い出したくないはずなのになぜか懐かしい気もするの」
 怖い記憶……ミコトが話しにくそうにしていた訳が分かった。
「私はここに来る以前の記憶が全く無いわ。どうしてだろう?」
「さあ……わからないわ。もしかしてあまりに恐ろしい記憶で自分で消してしまったとか?」
「そう、なのかな?だったら思い出さなくていいのかな……」
 わたしにも恐ろしい記憶があるのだろうか。記憶を封印してしまうほどの恐怖体験をしたのだろうか。
 そんなことをあれこれ考えているといつの間にか眠りは訪れた。

 次の日、ミコトは家の外で自分の力を見せてくれた。
 「灯篭召喚——」
 ミコトの言葉と共に宙に浮かぶ紙の灯篭が現れた。蝋燭の淡い光が周囲を照らす。
 光が周囲の灰色の建物を照らし影を作る。その影がもぞもぞと動き出した。それは小さな人型の影や虫型の影になり自由に動き出した。やがて建物の隙間に消えていく。
 この世界では影から生き物が生まれるのだ。ミコトの光はこの世界では生き物を生み出す光なのだ。
「すごいね、この世界に光をもたらす者はミコトなんじゃないかな」
「え?」
「猫店主が言ってた言い伝え。光をもたらす者の伝説」
「でも、私の光はすぐに消えてしまうわ。この世界は闇が余りにも強すぎるもの」
「そうかな……」
「そうだ!」
 ミコトは何かを思いついたように言った。
「少しじっとしてて」
 ミコトはネメシスの額に手を当てた。
「目を閉じてください」
 ネメシスは言われたとおりに目を閉じた。
 頭の中に紋章が現れた。
「あ!」
 ミコトが小さく叫んだ。ネメシスの額から手を離しよろよろと座り込んだ。
「どうしたの!?大丈夫?」
「……ええ、大丈夫、なんでもありません。それより印の譲渡は成功しました」
「この印は信頼するもの同士の心と心を繋ぐ道です。これでもし離れ離れになっても思念でお互いを感じ取る事ができます」

 次の日目覚めると雪が降っていた。意外な事に雪は白かった。
 その雪は肌に触れるとすぐに溶けた。しかしあまり冷たくは感じなかった。
 降り積もる白い雪も周囲の闇の濃さに影響され暗闇の世界に同化していくようだった。
「ねえ、猫店主。だんだんお客さんたちが減ってきてない?」
「皆、影の列車に乗って旅立ってしまうからね」
「影の列車?」
「そう、この世界の住人は皆やがて列車に乗って幻影城に向かう運命なのさ。もうすぐ最後の列車が出るんだ」
「最後?」
「影の生き物は光から生まれる。だけどもう光は残り僅かしかないから生まれる影も僅かなのさ。旅立つ影のほうが圧倒的に多いから最後には誰も居なくなってしまうんだろうね。」
「幻影城ってどんな所なの?」
「実際にどんなところかはわからないな。だって誰も戻ってきた者は居ないからね。楽しいところだといいなあ」
「怖く無いの?」
「うーん。怖い気持ちもあるかな。でも冒険をしてみたい気持ちが強いかな」
「猫店主も列車に乗るの?」
「そうだよ。みな自分の番が着たらなぜか本能でわかるんだ。迎えが来たってね。」
「シャドウイーターは列車に乗る事を拒否した影の住人の成れの果てなのさ。この世界の未練や執着から列車に乗る運命を拒否した哀れな存在。幻影の民の運命を拒んだ者はもう幻影の民でいることはできない。当然の結果だね」

月が完全に消えてしまった。
もう残された光は最後に収穫されたものしかない。それも近くに消えてしまう。
そうなればこの世界は完全なる闇に閉ざされるだろう。
今日は最後の幻影列車が出発する日だ。

「私達もそろそろ行こうか」
「そうだね」
ミコトは家に向けて手のひらを差し出した。
家が折り紙を折るように畳み込まれていく。見る間に小さくなっていく。手のひらに収まるサイズになってしまった。
ミコトはそれを金魚の巾着袋に入れた。
 一軒だけ明かりの点灯している建物があった。猫店主の料理店だ。
「猫店主、まだ店にいるみたいだね。最後だからお礼を言いに行こうか」
「そうだね。とても親切にしてくれたからね」
 ふたりは弱々しい明かりの灯った料理店へ向かって歩いた。
「やあ、ふたりとも。出かけるのかい?」
 料理店に入ると猫店主が陽気な声を掛けてきた。
 店内には猫店主の他には誰も居なかった。
「ええ、列車に乗って幻影城に向かうことにしたわ。他に道は無いみたいだから」
「そうかな?他にも道はあるかもよ」
「他の道?」
「あ、いや言ってみただけだよ。特に意味は無いよ」
「そう」
「ところで出かけるなら最後にご馳走するよ。特製の料理を開発したんだ」
「それじゃあせっかくだからご馳走になろうかしら」
「それはよかった。ちょっとまっててね」
「はい、当店自慢の特製シチューだよ」
 一見普通のシチューである。
「いただきます」
 スプーンで一口すくって飲んでみる。美味しい。
 特に変わったところはない。ネメシスは何気なくかき回してみた。すると黒い何かが浮かび上がってきた。思わず息を呑んだ。
 これは、手!?誰の?ハッ!
 横を見るとミコトが一口目を啜ろうとしていた。
「待って!」
 ネメシスは叫ぶと同時にミコトの持ったスプーンを払いのけた。 
「な、なにするの!?」
「ミコト!店を出るわ、急いで」
「どうしたのネメシス?私まだ食べて——」
「どうしたのお客さん?まだ料理の続きがあるんだよ」
 ミコトの言葉を遮り振り向く猫店主。その腕にはなにやら黒い塊が抱えられていた。頭だ。おそらくは客の幻影の物と思われる頭だ。
「ひぃ!」
 猫店主は素早く跳躍すると出口の前に着地した。手には包丁が握られている。
 包丁の一閃!ネメシスの首筋を正確に狙った一撃だ。
 ギリギリのところで後方に仰け反り回避する。そのまま床に倒れこんだ。
 一瞬の隙ができた。距離を取ろうと飛び起きようとした。
 その瞬間猫店主の胴体から何かが飛び出した。
 腕だ!第三第四の腕だ!
 新たに出現したその腕はネメシスの首を捕らえた。
 そのまま床に押さえつけられ首を絞められる!
「う、ぐ……」
「まずは腕を切り離します。イキガイイウチニネ。ソノツギハアシ。サイゴハアタマ」
「や、め、うぎ……」
 首を絞められて声が出ない。
 ガシャン!!
「ギャアアアアアア」
 ミコトが月の炎のランプを背後から猫店主の頭目掛けて叩きつけたのだ。
「マデエエェエエエエェエェエェ」
 頭を青白い炎で包まれた猫店主が奇声を上げて叫ぶ。ブンブンと包丁を振り回している。目が焼かれたのかあらぬ方向に振り回している。
「大丈夫ネメシス?」
「ありがとう、助かったわ」
「今のうちに逃げよう」
 ミコトの手を取って走り出す。
 さようなら猫店主。いろいろ教えてくれてありがとう。

 ★魔列車

「君たちも列車に乗るのかい?」
 列車に乗り込む影たちを見ているとひとりの影が声を掛けてきた。
「あなたは?」
「僕は駅の駅長。といっても列車は勝手に動いているし皆も勝手に乗っていくから何もしなくてもいいんだけどね。なんとなく駅長って役をやってみたかったんだ」
「そうだ、ふたりともこれをあげるね」
影はなにやら真っ黒い紙切れの様なものを自分の影から取り出した。
「本当は切符なんて必要ないけれど自分で作ってみたんだ。」
「あなたも列車に乗らなくていいんですか?」
「僕も行く事になるだろうね。最後の列車の最後の乗客として列車に乗るよ。それが駅長の勤めだと思うんだ。そういえばこれが最後の列車だったよ。」
「駅長さん」
「なんだい?」
「私達も最後に駅長さんと一緒に乗ろうと思います」
「そうしてくれると嬉しいよ。実を言うと心細かったんだ。影の皆だんだん無口になっていくんだ。自我が薄れていくみたい。僕はいろんな物に話しかけてるからね」
 その時、汽笛の音が聞こえた。線路の向うから列車が近付いてきた。
「来たわ」
 列車は灰色で生物的なフォルムをしている。目覚めた地下施設で見た壊れた列車にそっくりだ。もっとも今回は動いていて車体には所々に赤いライトが点灯している。窓からは淡いオレンジ色の光が漏れている。
 列車はホームに到着するとドアがいっせいに開いた。すぐさま影たちが乗車を始める。
「私、この列車を知ってるわ」
「え、乗った事があるのかい」
「いいえ、地下で残骸を見たの。」
「これが影列車ね」
 
「さあ、ふたりとも乗って。最後は駅長の僕だからね」
 駅長さんは駅長としてたいへんな誇りを持っているようだ。
 
 空中を黒い嵐の様な塊がこちらの方に近付いてくる。より近付いてくるとその塊は単体ではなく群集であることがわかった。黒い魚の群れだ。
「あれは影魚の群れだよ。何かに追われている見たいだね」
 影魚の群れの後ろに大きな魚の影が見えた。
「あれは影鮫だよ」
 影鮫は影魚の集団に飛び込んだ。群れは四方八方に拡散し逃げ惑う。何匹かが列車の車体や窓に当たり黒い霧となって消えていった。

「最初はね列車に乗るのが怖かったんだ。これに乗ったら最後もう戻れないんじゃないかって思ったから。でも今では違うんだ。これは帰り道なんだと思ってる」
「帰り道?」
「そう、僕たち影の帰り道。誰にでも最後に帰る場所があると思うんだ。それがこの列車の終着点だとなんとなく解るんだ。心の深い深い場所がそうだって教えてくれているんだよ」
「私の帰る場所は……どこだろう?この先にあるのかな……」
「どうかな、君たちの帰る場所は僕たちと違うと思うよ。でもきっと必ず見つかると思うよ」
「ありがとう、駅長さん」

 ふと、楽しげな音楽が聞こえてきた。ミコトは不思議に音の発生源を探した。
 すぐ横の通路に小さなメリーゴーランドがクルクルと回っていた。なんでこんなところにメリーゴーラウンドがあるのだろう。直径三十センチ位小さな回転木馬の模型だ。赤や黄色の宝石で装飾されキラキラと輝いている。だが、周囲の誰も気付いていない様子だ。ネメシスに聞いてみよう。どうして彼女は気付かないのだろう。でも眠いな……瞼が勝手に落ちてくる……

ミコトがいない!?
 それはにわかには信じられない事だった。
 目を離したのはほんの数秒だった。何気なく窓の方に視線を移しただけだった。
 するととたんに彼女の気配が消えた。彼女の感触、体温全てが突然消えたのだ。
 あわてて横を見るとミコトは消えていた。存在が掻き消えたとしか思えない。
 確かに私の隣に居たはずなのに!私の肩にもたれて眠っていた。
「駅長さん!ミコトがいないの」
 ネメシスは慌てて隣の駅長に話しかけた。
「ミコト?誰だいそれは」
「え?何言ってるの!今まで一緒にいたじゃない。私の隣に居た女の子よ」
「えっ?君と一緒に居た女の子?そんな子しらないよ」
 おかしい。ミコトが消えた事もそうだが、この駅長の反応も異様だ。まるで彼女の存在を知らないような発言だ。
 さっきまで3人で座席に座って会話をしていた。
 ネメシスは言葉に詰まった。
「ずっと君ひとりだったよ。夢でも見たんじゃないかな?」
「夢?ですって……」
 そんなことはありえない……絶対に!
 ネメシスは席を立つと揺れる列車内を探し始めた。ミコトの姿を探して最後尾の車両まで座席を探した。
 しかしいるのは影たちだけでミコトの姿形は何処にも居なかった。
 そうだ!こんな時こそミコトにもらった意識の接続のしるしを使おう
 目を閉じ集中する。彼女と繋がる精神の紋章が脳裏に浮かび上がった。
 ミコト!ミコト!
 必死で彼女の名前を呼びかける。
 しかし返事は無かった。変わりに妙な雑音のようなノイズが鳴り頭痛がする。
 何度試しても無駄だった。
 ネメシスは憔悴してしかたなく駅長の隣の席に戻った。
「疲れてるみたいだよ。先は長いから休んだほうがいいよ」
 心配そうに駅長さんが言った。
 ネメシスは返事をする事もできなかった。

客車のどこにも居ない。あと探してない場所としたら……先頭車両だ
 先頭車両への扉は取っ手が無かった。どうしようか。押してもびくともしない。
 そういえば目覚めた廃墟の扉に似ている。扉に触れて念じてみた。
 開け!
 扉は音も無くすうっと開いた。
 先頭車両の内部は真っ暗だった。
「ミコト?いるの」
 暗闇に一歩踏み入れた瞬間頭の中に何かが流れ込んできた。
 ダレ?ボクノナカニハイッテクルノハ
 声が頭に響いてきた。声と一緒に映像が再生される。
 影たちの長い列。高速で過ぎ去る家々や木々。
「これは……もしかして、列車の記憶?」
 ここは列車の中枢なのだ。そしてこの暗闇は列車の心そのものだ。
「ミコトは?私と一緒にいた女の子はどこ?」
 ネメシスは列車に質問した。
 ココニハイナイヨ アノヒトガツレテッタ
「あの人?誰なの?どこへ連れてったの?」
 ボクノゴシュジンサマ シュウテンニイル
「ご主人様……終点にいる」
 頭が振動してきた。めまいがする。
 急に頭がハッキリした。気が付くと先頭車両へのドアの前に立っていた。ドアは閉まっている。知るべき情報は得た。終点にいる何者かがミコトを連れ去った。だが何の為だろう。行けば全てはっきりする気がした。私が何者なのかという答えも。

 ★人形神社

「ここはいったい何処かしら……」
御琴は辺りを見渡しながら呟いた。
 覚えている最後の記憶では、私は、幻影達の乗る列車に乗っているはずだった。そこで何故だか急に、眠気が襲ってきたのだ。そう、私は眠ってしまったのだ。
 座席の隣に座って居たはずのネメシスもいない。彼女は無事だろうか?
 夢なのだろうか?しかし、いくら醒めようと思っても一向に目が覚める気配が無い。どうやらただの夢では無さそうだ。おそらくは何者かの世界に引きずり込まれた可能性が高い。
 前方に鳥居が見えてきた。

 神社の境内から明かりが漏れている。誰かいるのだろうか?
 人の気配は無いみたいね、思い切って入ってみよう。
警戒しつつ慎重に足を踏み入れた……
特に何も起こらない。ほっと胸を撫で下ろす。
境内は思いの他広いようだ。壁際には日本人形がたくさん並んでいる。提灯や蝋燭の光に照らされて影が揺らいでいる。線香の香り。人形達のそばには、お供え物の饅頭や最中、鞠や花札、折り紙の鶴など、子供の喜びそうなものが並んでいる大変私好みの場所だ。故郷を思い出す。緊張が解け楽しくなってきた。

この人形達なんだか私に似ている?
ふと疑問に思う
気のせいだろうか?人形の数が増えていないだろうか? そう思ってしまった。おもわなければ良かった。
とにかく数えてみよう
ひとつふたつみっつ……
そんな馬鹿な!?数え終わらない そんなはずは無い混乱しているだけに決まっている。落ち着いて数えるの!
 急に背筋が凍るほどの悪寒が襲い掛かってきた。
 しまった。此処に居るのはまずい!これは罠だ。境内に入るべきではなかった。
私は罠にはまったネズミか害虫だ。私を誘い込んでいた
境内に入ったことを心の底から後悔した。
ウフフフフ——
こだまがだんだん大きくなる
ウフフフフ——
鼓膜が痛い 頭に直接入ってくる!
ウフフフフ——
 あなたも人形になってみる?
 境内は増殖した日本人形達の狂気で埋め尽くされた
 危機的状況で更に悪いことは重なるものである。
 増えていく人形達のせいで境内は狭くなっていくはずである。しかし実際は逆だった。奇妙なことに最初よりも広く感じられる。人形達やおもちゃが徐々に大きくなっているのだ。いや、空間その者が拡大しているのである
 違う、私自身が縮小しているのだ!
 もうすぐこの子も人形になるよ——
 私が人形になる!?そんなのは嫌だ
「灯篭霊召喚」
灯篭霊たちが結界を形成する。
人形達の動きが鈍った。その隙に正面の出入り口に突進する!
境内から飛び出した。すぐさま追撃を予想し迎撃の姿勢をとる
しかし、訪れたのは静寂だった
辺りは暗闇に包まれていた。刺すような冷気が空間を埋め尽くしている。決して逃れたわけではない。この神社だけではない。この森も、いや、この世界全体が私を狙っている……
下手に動けない。灯篭霊たちは守ってくれているが心もとない
「へぇ、少しは楽しめそうね」
「!」
 突然背後から声がした。
 慌てて振り向くとそこには仮面の少女らしき人物が立っていた。
 狐の面を模した仮面で彼女の表情は見て取れないが服装からこの神社の巫女だろうか
「私の人形神社にようこそ」
「あ、あなたは誰?わ、私をどうする気!?」
「私はこの神社の巫女よ。あらあら、そんなに怯えなくて大丈夫よ。2度と怯えなくていいようにしてあげるわね」
「それって……」
「そう、あなたは人形になるからよ。この世界に入った者は私のお人形になるの。それがこの世界の法則。これはあなたがこの世界に入った時点で決定された結果なの。どうする事も出来ない事」
 人形になるですって!?そんなのお断りだ。
「私を元の場所に戻して!」
「だからもう駄目だって言ってるのに聞き分けの無い子ね。百聞は一見にしかず。直接教えて上げましょう」
日本人形達が入り口から溢れ出した
青白く発光する靄を纏った人形達はまるで鳥かコウモリの密集群を思わせる動きで飛行しながら空を埋め尽くす勢いで広がっていく
「戻してくれないなら自分で戻るわ」
御琴は走り出した。仮面巫女から距離を取る様に神社の左の森の方向へ全力で走る。
「逃げようとしても無駄よ」
灯篭結界に人形が衝突する。閃光が発生し人形が砕け散る。
「その結界、いつまで持つかしらね」
金魚巾着から小さな日本の城の模型を取り出す。金色に輝く精巧な城のミニチュアだ。
 ミコトはミニチュアの城を眺めながら不安がよぎった。
 この秘術は今まで一度も成功した事は無かったのだ。私には力が足りないのかしら。浮かんでくる不安を消し去るべく首を振る。
でもやるしかない。今がその時だ
地面に城の模型をそっと置いた。優しく 優雅に 堂々と 
人形の猛攻に結界が消えそうになるが今は気にならない。目を閉じる 呼吸は安定している 安心 集中 
私は誰にも邪魔されない 私の世界

明星城展開——
何も起きない。やっぱり駄目なのだろうか。
もう一度強く念じる。お願い成功して
明星城展開——

城の模型から眩い金色の光が噴出した
光の面が次々と開いていく。開いた面が更に開きより大きな面を形成していく。まるで折り紙の様に。石垣、最後に天守閣が展開された。巨大な黄金の城が完成した。
 成功した。初めて成功した!勇気がどんどん湧いてくるのを感じる。私は人形にはならない!
城門が開き鎧武者達が現れた
「多勢には多勢で対抗します」
切り落とされた人形の首の髪が伸び、両断された別の人形の胴体、手繰り寄せた。髪の毛で縛りつけ新たな自動人形と化し立ち上がる。切り捨てても切り捨てても再生していく。
髪の毛が血管の様に脈打ち人形の体内に食い込んでいく。
「随分と悪趣味な人形ね」
「このままじゃ埒が明かないわ。一旦城内に撤退しましょう」
「私の世界の中で自分の世界を出現させるとはね。でも此処はあくまで私の人形神社だということを覚えておくことね」
仮面の少女は呟いた。
引き篭もるなら引き篭もるといいわ。兵糧攻めの始まりね

 とりあえず考える時間ができた。人形達は城の中に入る事が出来ないようだ。飛行しながらぐるぐると城の周囲を旋回している。しかし私もでもいつまでも城にこもっているわけにも行かない。ネメシスが心配だ。彼女のほうも消えた私を心配している事だろう。それとも本当の私は列車で眠っているのだろうか?どちらにせよここから脱出するる方法を考えなくては。

「私と私の人形達をこれ以上怒らせないほうがいいわよ。あなたは人形達に酷いことをしたのよ。あなたを人形にした後彼女達はあなたを仲間と認めてくれるかしら?どうかしら?聞いてみましょう」
ユルサナイユルサナイ
クルシミアタエルミンナノクルシミタノシミタノシミ
「だって!観念なさい」

「来なさい白明昇龍」
 城門が開き現れたのは御琴を頭に乗せた白龍。3対の足を持ち全身白く輝く羽毛で覆われている。
最大の一撃で次元の壁に穴を開ける
「そんな馬鹿な!」
お願い貫いて!やった届い——
「捕まえた」
次元の壁に穴が開いた瞬間、残酷な言葉が頭に響いた。白龍の全身に長大な黒髪がびっしりと巻き付いていた。御琴自身の体も同様に人形の呪いの髪がきつく絡み付いてきた。もう逃れられない。髪の毛の先が皮膚に突き刺さり体内に侵食して来るのを感じる。
 この後どうなるのだろう。底知れぬ恐怖が襲ってくる。

 ★幻影城

 『まもなく終点、幻影城、幻影城、皆様未練の無いようにお願いいたします』

 終点を告げるアナウンスが鳴り響くと同時に長かったトンネルを抜けた。
 列車が線路のカーブを通過するにつれ、目的地である幻影城が見えてきた。山の様に巨大な城だ。高さは数千メートルはあるに違いない。漆黒の城。巨大な要塞。工場の様にも感じられる。周辺に城と同じように黒い霧が立ち込めており全容はハッキリ見えない。禍々しい雰囲気を醸し出している。
 どうやら幻影たちを幻影城へ運ぶ列車は1つでは無い様だ。何本もの線路が城を中心に集まって来ている。その内の幾つかには私の乗るのと同様の列車が見える。
「とうとう終点だよ、お嬢さん。此処でお別れだね」
 ジェラルドは静かに言った。彼の虚空の様な暗黒の顔には光る目が二つあるだけだったが寂しさを表すのにはその目だけで十分だった。ネメシスも同じく寂しい気持ちだった。
「そうね」
列車は次第に城の麓に近付いていった。またトンネルに入った。城の内部に終着駅があるのだろう。

 別れ際、ジェラルドはニッコリ微笑んだ。もちろん目が。
 ネメシスも微笑み返した。

 列車を降りた影達は一列になって奥にある開いたままの両開きの扉に向かっていく。
 ネメシスは列の最後尾に並び彼らに付いて行った。
 最後尾の彼女が扉をくぐると扉はゆっくりと閉じた。
 扉をくぐると長い廊下になっていた。周囲が白く発光している。黒い幻影たちとのコントラストが幻想的に感じられる。
 一キロメートルは進んだだろうか。急に廊下は終わりを告げ巨大な空間に出た。空間の直径は2キロはあるに違いない。高さはそれ以上だ。天井は霞んで見えない。天井があればの話だが。上方から赤い光が大空間を照らし、禍々しい雰囲気を醸し出している。
 中心に巨大な黒い柱上のエネルギー体が見える。地中から湧き出し天空何処までも伸びているようだ。影たちの列はそのエネルギー柱に向かっていた。列は彼女が並んでいる以外にも沢山あった。他の列車の乗客たちの列だろう。彼らも同じように此処に到着し長い廊下を歩きこの大空間に到着したのだろう。
 エネルギー柱に到着した幻影たちは柱に吸い込まれていった。一体化したという表現が適切だろうか。幻影たちを飲み込むたび柱自体も成長しているように思える。


 空間から滲み出るとしか表現できない。何も無い空間から黒い重油の様な液体が出現した。それは次第に人型を形成していく。人型の背中部分から更に大量の油が噴出した。それは二対、計四枚の巨大な翼状に変形すると人型の全身を包み込むように隠した。
 滴る黒い油。
 翼が開いた。黒衣の少女が現れた。

「私は漆黒少女。ようこそ幻影城へ、ネメシス」
 漆黒少女は冷たく美しい笑顔で挨拶した。
「どうして私の名前を知ってるの?」
「ウフフフ。列車の心を通してあなたを見ていたわ」
「じゃあ、あなたがミコトを!彼女をどこにやったの?」
「あなたのお友達?あの子なら特別な場所に閉じ込めたわ。あなたとふたりでお話したかったから消えてもらったわ。今頃人形になってるころかしら」
「なんですって!?ミコトを返しなさい!」
「私に命令できると思ってるの」
 漆黒少女は余裕の表情を浮かべて言った。
「この城は私の支配する世界。ここではあなたも私の思うがまま。試してみる?」
 漆黒少女が言い終わらない内にネメシスは彼女に向かって突進した。
 ミコトを取り戻す。絶対に!
 ネメシスの決意は固かった。駿足を駆り漆黒少女に接近する。
 漆黒少女は余裕の表情を崩さなかった。おもむろに四枚の翼を広げ一言唱える。
「夜剣界——」
 広げた翼のそれぞれからから黒い液体が噴出した。瞬く間に剣の形を成し硬質化する。四方から突進してくるネメシスに振り下ろした。
 ネメシスは成す術も無かった。咄嗟に腕でガードの体勢を取るが四本の剣は容赦なく彼女の体を切り裂いた。血が噴出する。
 しかし、ネメシスは止まらなかった。体が傷つくのも構わず漆黒少女の眼前に接近し腕を振り上げる。
「諦めの悪い子ね」
ネメシスが振り下ろしたかぎ爪は漆黒少女を捕らえた。彼女の体を斜めに引き裂く。
同時に違和感に気付く。手ごたえが全然無い。
「終わりよ」
 背後で漆黒少女の声がした。ネメシスが切り裂いたのは実体の無い影だった。
 突然背後に現れた適に対し振り向こうとしたが——出来なかった。
 黒い剣の一閃が見えた気がした。直後、背中に鋭い激痛が走った。視界が回転し自分の体が崩れ落ちるのを感じた。そして闇は訪れた。
 
 ネメシスは走っていた。
 真っ白な廊下の様な空間だ。
 甘い香りが漂っている。
 周囲は弾力のある白いふわふわだった。床も壁もマシュマロみたいだ。
 壁は簡単に千切れた。一口かじってみた。甘い。本当にマシュマロだ。美味しい。
 まるで夢の様な世界だ。
 え?夢?これは夢?ぐるぐると視界が回転していった。

気が付くとネメシスは椅子に座っていた。
 視界がぼやけてはっきりしない。
 確か私は攻撃を受けて……気を失った。その後の記憶が無い。
 体を動かそうとしたがピクリとも反応しない。金縛り状態である。
「無理に動こうとしないほうがいいわよ。無理だからね。」
 前方から声がした。
 視界がはっきりしてきた。
 目の前に白い大きな円形のテーブルがある。テーブルの上には紅茶やケーキ、クッキーがたくさん並んでいた。
 そしてテーブルの反対側には漆黒少女が嬉しそうにこちらを見ていた。
「私に何をしたの?」
「あなたの体の支配をもらっただけよ。あなたの体はもうあなたの意思では動かない。私の命令でのみ動けるの。素晴らしいでしょう?」
「冗談じゃないわ。ふざけ——」
「沈黙——」
 漆黒少女は一言囁いた。
 ネメシスは声が出せなくなった。
「いい子ね。私の言う事を聞いていれば悪いようにはしないわ」
「……」
「一緒に紅茶を飲んでお菓子を食べましょうね。私のネメシス」
 ネメシスは自分の考えに関係なく右手が動くのを傍観するしかなかった。
 右手が目の前にあるお皿に盛られたクリームの挟まったサンドケーキをひとつ掴み口へと運ぶ。
「どうぞ召し上がれ。食べる事を許可するわ」
 ネメシスにはどうする事もできなかった。ただ食べる事は自分の意思で行えた。
 ケーキは美味しかった。蜂蜜味のクリームはとても甘い。でも涙が出てきた。
「悲しいの?私のお人形さん」
 漆黒少女の声は心配そうだったがその言葉は残酷だった。
「あなたの心にはまだ抵抗の意志が感じられるわ。でも安心して。心から私に順応になったら話せるようにして上げるから」

——ネメシス——ネメシス——
 私の名前を呼ぶ声がする。幻聴だろうか?頭の中に直接響いてくる。
 私はこの声を知っている。この声の主を知っている。
 ミ、コ、ト——そう、ミコト、ミコトだ!
 ミコトなの!?どこにいるの?無事なの?
 落ち着いてネメシス。あの子に悟られないようにして。
 残念だけど私もあなたと同じように捕らえられてしまったの。でもなんとか意識の一部をあなたのところまで転送する事ができたの。
 長くは話していられないけれど重要な事をするから良く聞いて。
 わかった。
 ネメシス、あなたの心には封じられた領域が存在する。あなたに接続の印を与えた時に見つけたの。あなたに言わなかったのはその封印が危険なものだと感じ取ったから。はっきりいうと巨大な狂気を封じ込めた領域。
 巨大な狂気?私の中に?
 ええ、今から私があなたの中の狂気の封印を解除します。今自由に動ける意識はネメシスの中の私の意識だけだから。
 わかった。でも……私、怖いわ
 ネメシス……
 負けないで……自分自身に
 ……うん、頑張ってみる

「そんな!何故動ける!」
 漆黒少女は驚愕に目を見張って叫んだ。
 テーブルを一気に駆け抜ける。カップが、皿が舞い上がる。クッキーが砕け四散する。
 一気に間合いを詰める。
 漆黒少女は翼を盾に防御を試みた。が、間に合わなかった。
 漆黒少女の首筋に噛み付く。
「ぎゃ、ぎやああああああああああ——」
 吸血!
 あらん限りの力を振り絞り漆黒少女は自らの血を喰らう悪魔を振りほどく。吸血鬼を踏み台に後方へ飛び去る。反撃の為に剣陣を展開しつつ目標を視認しようと——した筈だった。しかし……
「いない、何処っ」
「ここだよ」
「!?」
 背後から抱きかかえられる様に捉えられ、二度目の激痛が首筋に走る。
「よ、よく……も、ひぃ!?」
 やられる、この私が?しかも私の支配世界の中で?
 漆黒少女は恐怖した。本能が叶わないと叫んでいる。逃れられないと直感で理解した。
 しかし彼女はあくまでこの城の主だ。逃げることは最初から選択しに存在しない。
 吸血の痛みと恐怖を怒りで打ち消すと共に体を捻り無理矢理に牙を引き剥がした。首筋からどす黒い血が吹き上がる。傷口は既に単なる噛み傷どころではなかった。
 尚も執拗に飛び掛ろうとする吸血鬼。正気を失った猛禽は一直線に獲物に飛び掛った。
 次の瞬間、彼女の胸は漆黒の槍で貫かれた。漆黒少女の首から噴出した血液が硬質化し槍を形成したのだ。
「ハァハァ……これでやっと」
 終わらなかった。
「血いぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!!」
自らの心臓を貫いた槍を引き寄せ、獲物を三度捕らえた。
もう逃さない、決意
 真紅のオーラがネメシスの体を包み込んだ。限界に見開いた瞳は真っ赤に発光している。血の様に赤いオーラは彼女の背中から生える悪魔の翼に形を変えた。
 そのまま数十メートル下の床に急降下する。赤い悪魔と黒い天使は共に床に激突した。

 漆黒少女の胸に突き立てる。
「ぐあぁ!」
 そのまま彼女の胸を抉ると目的のモノを掴んだ。
「私が今何を掴んでいるか分かるかしら?」
「お願い、やめて」

頭の中にイメージが再生される。
 真紅の光刃を振りかざした私は漆黒少女の黒い翼を断ち切った。落下する漆黒少女。追撃する私。漆黒少女の心臓目掛けて赤い剣を突き刺す。閃光が走る。
 また別のイメージが再生される。
 私は彼女に馬乗りになり彼女の首を絞めていた。漆黒少女は悲しそうな表情で私を見上げていた。
 突然、映像が切り替わり漆黒少女の視点になった。彼女の首を絞める私の狂気に染まった顔が見えた。やがて視界がぼやけて消えた。


 「ネメシス思い出して」
 私は何を言っている?思い出して?いったい何のこと……

「質問に答えなさい。私の何を知っているの?思い出してってどういう意味?」
「……」
なんだ?おかしい私は誰だ?
精神同調が起こっているのか。戦闘中に既に起こっていた?しかしこれ程までにシンクロとは信じられないことだ。
『精神の共有が発生している、此処からは思念で会話しよう』
二人の言葉が重なった。
『解った』

 (精神同調はお互いの考えていることが共有される。今は二人でひとりの<私>の思いになっている。
 最初は漆黒少女の世界だった。支配も完全だった。しかしネメシスが御琴の精神補助で覚醒した。覚醒したネメシスは漆黒少女の世界に自分の世界を上書きした。)
 今はネメシスの世界になったということね。
 でもそれだけじゃない。二人とも知らないはずの記憶が発生している。今からその記憶の再生を行うわ。

 この記憶は漆黒少女とネメシスの精神共有が高レベルに到達した時点で解凍される様に設定した上で封印しておく。尚解凍される未来はあらかじめ決定しておく。更に解凍され開示された手順に従い行動することも既に決定されている。
 これから先の行動が決まっているですって!?質問は後に 一気に再生するわ。
 覚醒したネメシスは漆黒少女を圧倒した後、その心臓を掌握し……破壊する。
 破壊によって生じる爆発はこの世界に光をもたらす。光は新たな影の管理者すなわち漆黒少女と住人ファントム達を生み世界は再構築される。
 ネメシスは記憶を消去し眠りに付き再び世界が闇に閉ざされようとする時に目覚める。
 眠りの間、別の世界の夢を見る事で覚醒時に自分自身が別の世界からきた存在だと思い込ませる。
 また影の世界に伝説を広めることで思い込みを補助し、確実なものとする。
 これは完璧なサイクルであり過去幾度も繰り返されてきた。そしてこれからも同様に繰り返されていく。
 プログラム構築者 ネメシス

驚愕の事実に辺りを静寂が包んだ。声を出す者は誰も居なかった。思考停止。何も考えられなかった。
暫くの後、体の振るえと共に感情が回帰してきた。
「まさか、そんな……」
私の声は震えていた。
「そうね」
漆黒少女は落ち着いていた。私に心臓を握られてたままだというのに。
「私がプログラムした。私がこの世界を創ったということ……私があなたを破壊する」
自分に言い聞かせるように声に出して言う。
「そう理解したわ」
漆黒少女はなおも落ち着いていた。
「理解した。で、でも……でも……」
ネメシスは戸惑った。
「さっきの勢いはどうしたの?心配ない。あなたならやれるわ」
漆黒少女はまるで他人事のように言った。
「やりなさい、それがあなたの、いいえ、私達の運命なのだから」
 
 漆黒少女は微笑んだ。
 ネメシスも微笑み返した。


 ★熟睡

「どうして破壊しなかったの?」
ネメシスは当然のように答える。
「忘れたの?ここは私の創った世界なのよ。選択権は私にあるのよ」
「もし失敗したらどうするつもりだったの?世界は完全に闇に飲まれ消失していた筈よ。サイクルは確実な手段だった。どうして不確実な手段を選んだの?」
「私はミコトの力を信じていたから。彼女の夢に賭けてみたの。それに……」
ネメシスは言葉に躊躇した。
「それに?」
「あなたのことも助けたかったから」

回想・・・・・・

「ミコトを元に戻しなさい!今すぐに」
「わ、わかったわ」




 御琴の灯篭が闇の世界に暖かな光を照らした。太陽のない世界。なおも大部分を占めるのは暗闇。
 でも、これがこの世界の最善の光と闇のバランス。幻影達にとって最も過ごし易い調和の取れた陰陽率。




「これからどうするの?」
「私達の役目はお終い?」
漆黒少女はネメシスに尋ねた。
「これからは好きな事をするのよ」
「好きなこと?毎日ティータイムとかどう?」
「いいわね、ケーキと紅茶とお喋りね、最高かもね」
「でも」
「なんだかとても疲れたわ、とっても眠いの……」
「そうだね」
「あの記憶の共有の時に見た映像、この城に私専用の部屋があるわ」

 このままこの世界で目覚めるか、それとも別の世界へ旅立とうか、選択するのは私。目覚めた時とそっくりなベッドで私は眠る

                                                   おやすみなさい

 シミュレーションは完璧
 私は漆黒少女の心臓を破壊した。
 彼女の心臓は砕け散った。
 凄まじい閃光と音が発生した。
 真っ白い光が彼女の全身から溢れ私の視界は真っ白になった。
 耳が痛い。頭が振動する。
 やがて何も聞こえなくなった。視界がぼやけてきた。意識がもうろうとしてきた。

 闇に包まれた世界に再び光が戻った。
 月は満月になり星は輝いた。
 闇に光が差し新たなる影の住人達を生み出した。光は新たなる大地を創り、家々を創り、草木を創った。
 そして、長い年月をかけ世界の光は消費され減少していく。
 光は闇に溶け新たな影の城と漆黒少女を生む。
 影の住人達は徐々に漆黒少女の元に集い始まりと同じようにひとつの闇へと融合していく。
 全てがひとつの闇に統合される時、再び光の爆弾を起爆する為にネメシスは目覚める。
 永遠に繰り返される輪廻の世界。
 
 何故こんな世界の仕組みが存在するの?
 何故私は私自身の記憶を消すの?
 なんのためにこんな複雑な手順を踏む必要があるの?

 楽しむためよ
 え?
 だから過程を楽しむためよ
 楽しむためですって?
 そう、全ては創造者たる私の遊び。この世界は私の世界なのよ。私が遊ぶ為に創った世界なんだから。
 ひとりで遊ぶのはつまらないでしょ。だからたくさんの構成要素を用意したの。
 ネメシスという主人公である私の体。漆黒少女という適役。美琴という仲間。影の世界という舞台。
 同じ遊びを何度も繰り返すの。時間は永遠にあるのだから。
 でも何度も同じ遊びを繰り返すと飽きてしまう。細かいところは違う場合があるけれど。大まかなストーリーは同じだから。
 いくら大好きな食べ物でも毎日それだけを食べ続けたら飽きてしまうでしょう?
 だから毎回記憶をリセットする事にしたの。そうすれば何度も何度も繰り返し楽しむことができる。
 そう。これが真実。真実を最後の最後に知ることも初めから織り込み済みだったの。
 世界が暗闇に飲まれるぞくぞくする感覚。悲哀に満ちた無数の魂の叫び。何度も何度も楽しめるのよ。
 狂気に満ちた世界。それが私の世界。
 
 嘘だ、そんなの嘘に決まってる!誰か嘘だと言って。
 皆を騙していたというの?皆だけじゃない、自分自身さえも!
 考えるの。私は考える事ができる
 
「知らされた情報が真実だという保障もないわ。例え限りなく確かなものに思えるかもしれない。説得力はあった。でもあくまで情報は情報。最終的に選択するのは私自身なのだから。過去には何度も情報通りの選択を繰り返していたのかもしれない。それで上手くいってたのも真実かもしれない。でも、だからといって別の方法が無いとは限らない。私は別の方法を実行しただけ。私の世界ならそれが可能だと思ったの」

「ミコト、あなたは私の本性に気付いていたのね。私自身忘れていた私の狂気に。私達が出会った時から」
「ええ。でもネメシス、私はあなたを信じることにしたの。あなたは私に優しかった。それに、あなたは最終的に啓示と違う選択を行った。あなた自身の狂気に支配されず、逆に狂気を支配した」
「あなたを元の世界から呼び寄せたのは私なのに」
「元の世界から抜け出たいと願ったのは私自身でもあるわ。それがネメシスの呼び寄せと重なっただけよ」
「それにネメシス。あなたに出会えて私は幸せよ」
ミコトは笑顔でそう言った。
ネメシスも笑顔で答える。
「ありがとう……私もミコトに出会えてとても幸せよ」
「私自身の心の闇を克服する事ができたもの。あなたと列車ではぐれて迷い込んだ世界。あの世界は私自身の恐れが具現化した世界だと思う」
「それじゃあ私も役に立てたということになるわね」
 漆黒少女は悪戯っぽく言った。
 ミコトが笑顔で返答する。
「今度はあなたの恐怖を具現化してあげますよ?」


fin
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オムニバース
2014-05-13 Tue 12:27
 全宇宙情報統合概念。あらゆる可能性の宇宙の集合体。知識の総体。存在しうる全てが揃った場所。アカシックレコードや図書館などと呼ばれることもある。









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